お願いだから、好きって言って。

「……そんなに私、邪魔だった……?」


 泣きながら、震える声でそう返す。
 泣くつもりなんてなかった……こんな辛いの、振られたんだから当たり前なのに。


 なのに、佐藤くんの一言で一喜一憂して、こんなふうに勝手に傷付いて泣いて……



 本当にばかみたい。


「違う、そういうことじゃなくて……」
「一吾やめろよ、双葉さん泣いてんだろ」


 佐藤くんは必死に否定しようとしてるけど、それは佐藤くんが優しすぎるから……



 いっそ邪魔なら、邪魔だって言ってくれたら……期待せずに、傷つかずに済むのに。



「変なこと言ってごめんね、冗談……だから。きにしないで」



 必死に笑顔を作ってそう零す。
 上手く笑えてるかな……どうか、これ以上迷惑はかけたくないから……



 ――そんな気まずい空気の中、バスは学校へと到着し、私達の長い長い林間学校は幕を閉じた。


< 126 / 177 >

この作品をシェア

pagetop