お願いだから、好きって言って。


「双葉さんさ、先生が体育館で呼んでたよ」


 いつも通り本を読んでいると、久しぶりにクラスの女子に話しかけられた。驚きで思わず体が跳ねる。


「え、あ、ありがとう」


 お礼を言って席を立ち、体育館に向かう。


 だけど、どうして……今まであんなに無視してきてたのに。
 なんて疑問を抱いたけど、心の中ではまだクラスの女子を悪い人だと思いきれてなかった。



 そんなことを考えながら、体育館の重い扉を開けると……


「え……?」



 同じ学級委員の齋藤くん。


 ……と、それを囲むように立っていたのはクラスの女子全員。


 クラスの男子も体育館の廊下から様子を伺うように、中を覗き込んでいた。

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