お願いだから、好きって言って。

 嫌な予感がする。なにこれ?
 どうしてクラス全員ここに? 今から何が起きるの?

 冷や汗が額を伝って流れる。


 口を開き「なにこれ?」と聞こうとすると……



「双葉さんが、齋藤のこと好きだってさー」



 クラスの女子の大きな声が、静かな体育館中に響き渡る。

 その瞬間、ざわめきに包まれた。
 クスクスと面白そうに笑う人、ドン引きしたような目で私を見る人。

 やだ、なんでこんなことになってるの?


 私が、この人たちに何をしたっていうの?




「いや、キモイわ。なんなんだよマジで……」




 齋藤くんは、迷惑そうに苦笑いしながらハッキリとそう告げた。


「王子じゃないってとこがガチっぽいよね」


 クラスの女子がそう言うと、皆は一斉に笑い始めた。


 もう嫌だ、早くここから消えたい……


 この人たちが誰もいないところへ、行きたい。

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