お願いだから、好きって言って。


 ◇ ◆ ◇




「……ッ! はっ……はぁ……」



 息が苦しい、冷たい汗が止まらない……
 ここは……? 体育館、じゃなくて……自分の部屋……


 そっか、あれは中学生の頃の……夢?
 どうして今更……?



 まだトラウマを克服できてないの……?



 夢なのに、あんなに鮮明に思い出すなんて、最悪だ。
 忘れたかったし、実際忘れかけてた。


 今は毎日が楽しいし……あの中学の頃の人とはもう会うことないって思えば……少しは忘れられた。


 それなのに……また思い出すなんて。



 ハッキリと思い出した。
 気持ち悪いものを見るような視線を送る齋藤くん、好奇の目でバカにしたように悪口を言うクラスの女子……


 元はと言えば、私が皆と合わせられなかったのが悪いんだろうけど……


 でも……私は、そこまでされることをしたの?



 気が重いし、今日は休んでいたいけど……学校に行かなきゃ。


 大丈夫……もうあんなこと、起こるはずない。




 でも、中学の頃も……友達だと思っていた子に突然いじめられたわけだし……



 いや、綾瀬さんたちはそんなことする人じゃない……。そんなの分かってるけど……


 あの、友達だと思ってた子の、初めて見る冷たい目……それがトラウマみたいに、今もずっと脳裏に焼き付いている。



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