お願いだから、好きって言って。


「双葉サン! おはよ!」



 重い足取りで校門を歩いていると、後ろから肩を叩かれる。


 綾瀬さん……
 今日も朝から元気だなー……。なんて考えながら小さく微笑む。


 篠塚くんもいる、2人で登校して来たのかな?


「なんか元気なくない……? なにかあった?」
「ううん。……大丈夫」


 さすがに返事がぎこちなさすぎたのか、2人は心配そうに顔を見合わせた。

「そういや、一吾風邪ひいたの知ってる?」
「え……」


 佐藤くんが風邪……大丈夫かな……
 ってことは今日は学校に来てないのかな?


「海で篠塚が突き落としたからじゃないのー?!」
「んなわけ! それなら俺も突き落とされたんだけど?!」


 風邪ひいた原因……って、もしかして……


「私が……雨の中迷惑かけたからだ……」



 自分勝手な行動して迷った私を、佐藤くんは雨の中探し回ってくれてた……
 絶対そのせいだ……


「あれは双葉さんも相良が心配だったからじゃね」
「そうだよ! 双葉サンは悪くないからね?!」

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