お願いだから、好きって言って。

「学校来てすぐ体調崩したっぽいから保健室いるらしい。……心配なら行ってあげたら?」
「うん……篠塚くん、綾瀬さん、ありがとう……!」


 私は保健室の方へと走り出した。


「え、もしかして双葉さんって……雪崎じゃなくて一吾……?」
「今更気付いたの?! ……鈍感」


 ◇ ◆ ◇



 ガララ……と保健室のドアを開ける。
 3つ並んだベッドのひとつだけ、カーテンが閉まっていた。

 保健室の先生もいないみたいだし……ちょっと様子を見るだけなら、いいよね……?


「佐藤くん……? 体調、大丈夫?」


 囁くような声で呼びかけると、ベッドの軋む音が聞こえる。


「ん……双葉さん……?」


 掠れた声で私の名前を読んだ直後、佐藤くんは咳き込む。
 乾いたような咳で、とても辛そう。


「大丈夫……?! なるべく喋らないで……ちょっと、入るよ?」


 そう言ってカーテンを開くと、佐藤くんは顔を真っ赤にして寝込んでいた。
 熱があるのか、額に少し汗をかいている。


「これ……冷たいタオル、おでこに乗せるね」
「あり、がと……」


 すごく熱い佐藤くんのおでこに、冷たい水で濡らしたタオルを乗せる。

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