お願いだから、好きって言って。



「――好き……ほんとに、好き」



 佐藤くんに聞こえないように、気持ちを小さく零して……そっと頬に触れる。

 熱のせいで少し熱い頬は、驚くほどサラサラとしていて……



 この気持ちを言葉にするだけで、涙が溢れてくる。

 諦められるわけない……例えそれが、佐藤くんにとって迷惑なことだとしても……




「夢……?」



 私の腕を掴み、佐藤くんは困惑したように問いかけた。

 その瞳は小さくうっすらと開かれている。


 現実だったら、きっと佐藤くんを困らせてしまうから。



 だから、少しだけ嘘をつかせて。




「うん、夢……だよ」



 そんな嘘を佐藤くんは信じたのか、虚ろな目で優しく微笑む。


「そっ、か……夢……」


 ふふ、と嬉しそうに返す佐藤くん。
 いつも、かっこいいのに……寝ぼけてるからかな? なんだか少し可愛い。



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