お願いだから、好きって言って。


 キス……初めてだったのに……



 いや、正確に言えば……林間学校のときに、水を飲ませてくれたのが初めてだけど……あれはキスとは言えないよね……?



 しかも、他の人と間違えてキスされるなんて……思わなかった。



 やっぱりしんどいかも……
 だって……佐藤くん、相良さんとキスする夢を見てたんだもん……


 そんなの、知りたくなかった。



 振られたのに、好きな人いるの知ってたのに……懲りずに佐藤くんに関わり続けてた罰だ……




 とく、とく、と聞こえてくる佐藤くんの鼓動にさえ、涙が流れる。


 勝手に期待して、勝手に傷付いて……




 本当に、私は何がしたいんだろう。





 溢れる涙を拭いながら、私は保健室をあとにした。



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