お願いだから、好きって言って。

「誰とキスする夢みてたの……? 私、あれが初めてだったのに……」


 せっかく両思いになったのに、あんなこと思い出して胸が苦しくなる。

 答えを聞いたって誰も幸せにならないのに……


 そんなことを考えてモヤモヤしていると、佐藤くんはそっと、優しく私を抱きしめる。


「あれは……双葉さんがいたような気がして……"夢だよ"って言われたから」


 佐藤くんは悲しげに眉を下げて、そう呟く。
 
 言われてみれば……バレるのが怖くてそんな嘘ついたような気もする。



 いや、待って。ってことは……



「それ、って……私とキス……したつもりだったの……?」


 顔があつい。胸が苦しい……

 確信もないのにこんな事聞くなんて、私……本当にどうにかしてる。


 それなのに、期待してるみたいに鼓動が早くなる。




「そーだよ、恥ずいから言わせないでよ」



 顔を真っ赤にした佐藤くんは、ツンとそっぽを向く。
 

 あの佐藤くんが……こんな顔を真っ赤にしてる。




 私だと思って、キスしてくれた……


 あぁ、やっぱり私……佐藤くんのことが、本当に




「……好き」
「え、俺も! ……マジでだいすき」

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