お願いだから、好きって言って。

「教室戻りたくねー」
「少しだけ、サボっちゃう……?」
「双葉さんってそんなこと言えたんだ……意外なんだけど」

 私の提案に対して、ぎょっとした顔で返す佐藤くん。
 私だって、授業に出たくないことは沢山あるのに……心外だ。



「絶対冷やかされるじゃん!」
「付き合うことになったの、黙っておく……?」


 できれば、綾瀬さんと相良さんにはちゃんと伝えたかったけど……佐藤くんが嫌なら、私はそれでもいい。


「いや、色んな理由あるし言う」


 佐藤くんの言葉に頭の中を疑問が埋めつくす。
 そんな私を見かねて、佐藤くんは説明してくれた。


「林間学校の時のメンバーには少なくとも言いたい、隠し事したくないし」
「うん、私もそう思ってた」
「それに! 最近双葉さん眼鏡外したり髪型変えて可愛くなったから、付き合ったって言わないと狙われるじゃん!」


 それは考えすぎな気がする……
 っていうか……そんなこと佐藤くんが気にし始めたら、私なんてどうなるの。

 彼氏は、みんなの初恋を奪う王子様の佐藤一吾くんだよ……?

 私、自信ないし……絶対反感買う。
 これのせいでまたいじめが始まったりしたら……



「ずっと前からすきだったのに……別れたくない……」
「え、なんてこと考えてんの?! 俺の方が前からすきだった! 絶対に!」


 そんなことは絶対ないはずなのに、比べるように言われ、驚く。

 私は、出会ってすぐ好きになってたと思う。
 佐藤くんは知らないだけだよ……

 一体どこからその自信が湧いてくるんだろう……


「佐藤くんはいつから私のことを……好き、になってくれてたの……?」



「んー……俺は」


 そして、佐藤くんは私のことを好きになった時のことを話してくれた。

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