お願いだから、好きって言って。

「篠塚は下の名前で呼ばねーの?」

 突然放たれた佐藤くんの一言によって、空気がガラリと変わる。

「え゙、なんで俺?!」
「いや、人に勧めといて、綾瀬のこと呼び捨てじゃん」

「じゃあ俺、綾瀬のこと"ゆにちゃん"って呼んだら言いわけ?」
「は、は……?」

 篠塚くんが名前を呼んだ瞬間、火がついたように顔を真っ赤に染めるゆにちゃん。

「え、なんか顔赤くね? ゆにちゃん」
「う、うっさい! もう呼ばないで!」
「えぇ……」

 こんなに顔真っ赤なのに気付かないなんて……篠塚くんどれだけ鈍感なんだろう……

「じゃあさ、綾瀬も篠塚のこと下の名前で呼べばいいじゃん」

 そして、雪崎くんの一言で更に場は荒れることに。
 そんな……ゆにちゃん、篠塚くんのこと下の名前で呼べるのかな……?


「れ、怜斗のばか。……もう言わないから!」
「え、あ……え……?」

 あれ……
 いつも鈍感で、綾瀬さんの気持ちにも、周りの恋愛事情にも気付いてない篠塚くんだけど……さすがにこれはドキッとしたのかな……?

 顔、真っ赤だ……

< 166 / 177 >

この作品をシェア

pagetop