お願いだから、好きって言って。

「てかさ、篠塚って好きな人いないの?」

 雪崎くんは篠塚くんの肩に手を乗せ、ひょいと顔を出した。

 篠塚くんの好きな人……そんな話、聞いたことないし気になる、けど……


 それを聞いて、ゆにちゃんはつらくないかな……


「え、いや、いるわけねぇじゃん……」
「そーやって目逸らすの怪しくね?」

 雪崎くんに痛いとこを突かれたのか、篠塚くんは黙り込んでしまった。


「なにそれあたし知らないんだけど! だれ?何年生?!」


 ぐいぐいと顔を近づけながら、ゆにちゃんはたくさんの質問で壁に追いやる。

 名前呼ばれただけで顔真っ赤にしてたとは思えないほど大胆で、思わず苦笑いしてしまう。



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