お願いだから、好きって言って。
◇ ◆ ◇
あれから、篠塚くんとゆにちゃんは帰ってくることなく、時刻は17時を指していた。
オレンジの夕焼けが、いつもより綺麗に見える。
「双葉さん!」
後ろから呼びかけられ、心臓が高鳴る。
振り返ると、そこには佐藤くんがいた。
好きな人……私の、初めての彼氏。
「あれ……佐藤くん、忘れ物? ……部活は?」
ユニフォームを着ているってことは、部活中なんだよね。
教室に忘れ物……かな?
「双葉さんがいるの、窓から見えたから」
「ゆにちゃん……戻ってくるかなって待ってたんだよね」
佐藤くんは、複雑そうに「うーん」と考え込む。