お願いだから、好きって言って。


「つっかれたぁ……!」

 その子は廊下にへたれこむと、そう呟いた。
 私たちは集合場所とは真逆の場所にいたみたいで、五分ほど全力でダッシュした。

 私だって出来ることなら座り込んで休みたい……

 そんなことを考えてると、ぱっちりと女の子と目が合う。


「あたし、綾瀬ゆに! よろしくね!」
「よろしく、お願いします」

 私なんかに微笑みかけてくれる……
 と感動していると、綾瀬さんはきょとんとした表情で見つめてくる。

「あなたの名前は?」
「双葉……深月(みつき)
「おっけー! 双葉サンね! クラス一緒だからよろしくね」



 クラス、メイト……


 ううん、私は同じ繰り返しは絶対にしたくない。



 そうならないように、頑張らないと。


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