お願いだから、好きって言って。

˚✩* あまくて、すっぱい ˚✩*



「相良さん、ごめんなさい……!」


 昼休み、私は空き教室に相良さんを呼び出して、深く頭をさげた。

「え、ちょ……なに?」

 相良さんは、突然の謝罪に戸惑う。
 いきなり驚かせたことも、申し訳ないと思うけど……

「私、相良さんの恋愛応援するって言ったけど……」
「……! ――もしかして、王子のこと好きになった。とか?」

 小さく頷くと、相良さんは嬉しそうに微笑んだ。

「へぇ、いいじゃん! 頑張りなよ。告白は……してないんだよね?」
「告白なんて……そんなの考えてない」
「なんで?! うち言ったじゃん。早くしないと誰かに取られるかも。ってさ」

 誰かに……取られる。
 でも、佐藤くんは皆の人気者だし、そんなの当たり前なわけで……

 そもそも、ああやって二人で話せたことが珍しいんだ。

「いいの? 好きって言えずに、遠くから彼女とイチャイチャしてる王子を見る事になっても」


 相良さんは顔をしかめながらそう忠告した。
 そんなこと言ったら、相良さんだって……


 私も、相良さんと一緒で……好きでいるだけでいい。

 彼女になりたい。なんて高望みはしない。

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