お願いだから、好きって言って。

 結ばれることなんて考えてない、例え告白しなくたっていい。どころか……


 この、"好き"って気持ちを抱くことすら、勘違いだったんだ。


 あの、私をいじめてた女子でさえ……クラスではモテる方で、男子から人気があって……可愛いってたくさん言われてきた子だった。



 それでも無理なら……


 土俵に立つことすら、私にはできない。



「ってか、王子は誰なら付き合えるんだよ? 綾瀬とか?」


 男子が佐藤くんにそう問いかけると、誰よりも早く綾瀬さんが口を開いた。


「は、はぁ?! あたし……佐藤のことが好きなんじゃないから!」
「その言い方だと他に好きな人いるってことになるけど?」


 篠塚くんの返答に、綾瀬さんは一瞬で顔が真っ赤になる。

「ちが……好きな人、いないから」
「まじか、ごめん」


 顔を赤く染めてちいさく呟く綾瀬さん。
 多分教室中の皆が察したであろう恋心。


 逆に、篠塚くんは今ので分からなかったのかな……


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