お願いだから、好きって言って。
恋愛に興味なくて、誰々がかっこいいなんて会話についていけなかった私でさえ彼のことは知っていた。
モデルのような背丈と、キリッと整った顔立ち。
だけど犬みたいに人懐っこいらしくて、男女関係なくいつも皆に囲まれていた。
すれ違ったことも何度もある。
眩しくて思わず目を逸らしたくなるオーラ。
そんなキラキラと輝く彼が、私は少し苦手だった。
もう会わないと思ってた。
二度と見かけることもなく、私は彼に存在を知られることもなく、日々を過ごせると思ってた。
そう、彼は私のことなんて知りもしないはず。
大勢に囲まれて毎日を送る彼にとって、私は眼中にないに決まってる。
話したことは一度もないし、目を合わせたことすらない。
私がいじめられていたことなんて、彼は知っているはずもない。