お願いだから、好きって言って。

「うん。同じ中学だった人、だよ。別の高校の……!」


 ちゃんと、笑えてるかな? 嘘ってバレない、違和感のない返答は出来てたかな?


 こんなことで気を使ってばっかりで、私ってほんとにやだ……


「えー! 写真とかないの?! 今度会ってみたいな~」
「な、ないよ……」


 会いたい……って、それは絶対に会わせられない。
 ここで引き下がってくれたらいいんだけど……


「そっか、残念……。でもあたし、双葉サンとこういう恋バナができて嬉しいよ!」


 嬉しそうにニッコリと笑う綾瀬さんに、チクリと罪悪感が湧き出てくる。



 言えない秘密が、嘘がたくさん溜まって……



 友情も偽りになっていくのかな……?



 そんなの、嫌なのに。こんなこと、したくないのに……




 ――いじめられたトラウマから、完全に逃げることはできないのかな?


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