お願いだから、好きって言って。
「ねぇねぇ! じゃあさ、双葉サンは雪崎みたいなのはどうなの?」
「どうって……?」
「タイプかって事っしょ?」

 篠塚くんの問いかけに、綾瀬さんは前のめりで首をうんうんと縦に振る。


 ――どうって言われても……


 うーん、言葉にし難い……


「えぇ……優しいし、助けてくれた……から素敵な人だなって思うけど……」


 なんて答えたらいいのか分からず、言葉に困りながらも、なんとか返答する。


 綾瀬さんは、ぱぁぁと目を輝かせている。



 そんな中、一人だけつまらなさそうに黙々とフルーツサンドを食べる佐藤くんは……



「じゃあ……双葉さんの理想の男ってこと?」



 ……理想の、男子……?


 雪崎くんが? どうしてそんな、いきなり……


 理想の男子の話なんて……



「あ……」


 した、そういえば。
 放課後、図書室でお互いのことを質問しあった日……



 私、佐藤くんの前で……

 "優しくて……私を助けてくれる、王子様みたいな人……かな"


 なんて言っちゃった……




 あの時は、この気持ちに自覚してなかったから、簡単に言えたけど……


 よく考えたら、これ……まんま佐藤くんのことだ。




 思い出すだけで顔が熱くなる。


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