お願いだから、好きって言って。
「え、あ、マジなやつ?」
「双葉サン……? 大丈夫?」
綾瀬さんの心配そうな声で、ハッと我に返る。
「え……う、うん……」
どうしよう、佐藤くんの顔……見れない。
――この気持ち、バレてないよね?
佐藤くん、どんな顔してるんだろう。
きっと、私の気持ちになんて興味はないだろうけど……
どうかこの気持ちが佐藤くんにバレませんように。
「ま、俺にはカンケーないけどね」
突然、机を叩きながら立ち上がる佐藤くん。
"カンケーない"……って……
その鋭い一言が、胸に突き刺さる。
見上げると、冷たい表情の佐藤くんがこちらを見ていた。
そんな私から、ふいっと視線を逸らし、佐藤くんは教室から出ていってしまった。
「なによー……アイツ、まだ根に持ってんの?!」
綾瀬さんの言葉が遠く感じる。
あんな冷たい目、初めて見た。
いつも優しくて、ニコニコしててキラキラしてるのに……
初めてだった、あんなに怖い表情の佐藤くん……