お願いだから、好きって言って。

「え、ちょ……雪崎? 双葉サンは……?」
「なんか今日は相良と話したい気分だから。だめ?」

 雪崎くんの気まぐれに、みんな困惑する。
 もしかして、雪崎くんって、相良さんのこと……?


「じゃあ俺、双葉さんの横で」


 佐藤くんの一言で、さらに場の空気が凍る。
 

「は、はァ?! いや、え……?」

 相良さんも納得いってないようで、困惑しながら助けを求める。

 どうしよう、ごちゃごちゃだよ……


 なんて考えていると、雪崎くんは相良さんの肩を優しく叩き、そのまま耳元で何かを囁いた。


「……っ! ……分かった。うち、雪崎の隣に座るから」


 不機嫌になりながらもそう呟いた相良さん。

 雪崎くん、なにを言ったの……?



 みんなその様子に戸惑うも、すでに他のクラスメイトは全員バスに乗っていて、先生から急かされてしまう。


「じゃ、じゃあ……あたしは篠塚の隣ってことで……いい?」


 雪崎くん以外は戸惑いながらも頷いた。


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