お願いだから、好きって言って。



「普段メガネで隠れてるけど、顔めっちゃ可愛いんだし……もう少し自覚持ってよ」


 不機嫌そうに呟かれたその一言に、思わず赤面する。



 ――可愛い。


 佐藤くんの口から、そんなことを言われるとは思ってもなかった。



 あの佐藤くんが、私なんかを可愛いって……




「双葉さんはいつも"私なんか"とか言うけどさ。俺に前言ってた"恋愛で悩むことなんてないと思う"って……それ、双葉さんにも言えるから」




 そんなこと、ない……


 佐藤くんへの気持ちを自覚してから、悩んでしかないもん……



 好きで、でも何度も諦めようとした。



 自分のこの気持ちも大切だけど、やっぱり友達の気持ちも大事で……何度も隠そうとした。




「そんなに辛いなら、やめたら?」




 聞こえるか聞こえないかの声で呟かれた一言に、佐藤くんの方を見上げる。





「――え……?」






 そんな私に、佐藤くんは真剣な表情で問いかけた。








「俺のこと、好きになってみる?」






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