神獣の花嫁〜刻まれし罪の印〜
目の前にいる少年がすべての元凶かと思うと、小百合の語気が荒くなる。
(せめて、兄上だけでも、助けたい……!)
動揺して突き飛ばしてしまった兄。
小百合の家族と婚約者を殺めた事実は消えないが、だからと言って、自分が死に追いやっていいわけがない。
(手当てをしなければ)
小百合が与えた衝撃で、持っていた手斧により、兄が負傷したのは間違いない。
「私を喚んだのがお前なら、私を元の場所に還すのも可能だろう? 私を、すぐに戻してくれ!」
必死に言い募る小百合の前で、だんだんと少年の顔が暗く沈んでいくのが分かった。
「……それは……すまぬが、できぬ相談じゃのう……」
「なぜだ」
鋭く切り返すと、小さく息を吐かれた。言いよどんだのち、少年は真剣な眼差しを向けてくる。
「“召喚”は、大いなる神の導きでな。わしより高位の方の御力によるものなのじゃ。これを覆すには、時間がかかる」
「そんな、馬鹿な……!」
(せめて、兄上だけでも、助けたい……!)
動揺して突き飛ばしてしまった兄。
小百合の家族と婚約者を殺めた事実は消えないが、だからと言って、自分が死に追いやっていいわけがない。
(手当てをしなければ)
小百合が与えた衝撃で、持っていた手斧により、兄が負傷したのは間違いない。
「私を喚んだのがお前なら、私を元の場所に還すのも可能だろう? 私を、すぐに戻してくれ!」
必死に言い募る小百合の前で、だんだんと少年の顔が暗く沈んでいくのが分かった。
「……それは……すまぬが、できぬ相談じゃのう……」
「なぜだ」
鋭く切り返すと、小さく息を吐かれた。言いよどんだのち、少年は真剣な眼差しを向けてくる。
「“召喚”は、大いなる神の導きでな。わしより高位の方の御力によるものなのじゃ。これを覆すには、時間がかかる」
「そんな、馬鹿な……!」