神獣の花嫁〜刻まれし罪の印〜
「私はこれからも、お前の側に在る。この先も、お前と共に生きて行くのだ。それが、いまの私の望みだ。
……お前の望みは、何だ?」
穏やかな百合子の問いかけに、とまどったように、少年の漆黒の瞳が揺れる。
「わしは……」
互いに、相手の真意を探るように目を見交わしながらも、その実、見極めようとするは、己の心。
「わしは……おぬしの願いを叶えなければ……。いや、違う、そうではない。わしは……わしの、望み……?」
混乱した口調で話す黒い“神獣”の“化身”は、ややしばらくの間、自らの心のうちと向き合っているようだった。
やがて、さ迷わせた瞳を己が“花嫁”へと向ける。
「───わしは、百合が、欲しい」
ぎこちなく告げられた、真っ直ぐな想いの応え。百合子の胸をつらぬき、射止める真実の矢だった。
───彼に望まれなければ、自分がここにいる意味などない。
百合子の指先に、ふたたび強い想いの力が宿った───が。
「あ、いやっ……わしは、百合の望みを叶えるために存在するのであって……ほ、欲しいというのは、百合の心があって初めて成り立つもので───」
……お前の望みは、何だ?」
穏やかな百合子の問いかけに、とまどったように、少年の漆黒の瞳が揺れる。
「わしは……」
互いに、相手の真意を探るように目を見交わしながらも、その実、見極めようとするは、己の心。
「わしは……おぬしの願いを叶えなければ……。いや、違う、そうではない。わしは……わしの、望み……?」
混乱した口調で話す黒い“神獣”の“化身”は、ややしばらくの間、自らの心のうちと向き合っているようだった。
やがて、さ迷わせた瞳を己が“花嫁”へと向ける。
「───わしは、百合が、欲しい」
ぎこちなく告げられた、真っ直ぐな想いの応え。百合子の胸をつらぬき、射止める真実の矢だった。
───彼に望まれなければ、自分がここにいる意味などない。
百合子の指先に、ふたたび強い想いの力が宿った───が。
「あ、いやっ……わしは、百合の望みを叶えるために存在するのであって……ほ、欲しいというのは、百合の心があって初めて成り立つもので───」