神獣の花嫁〜刻まれし罪の印〜
ふっ……と、闘十郎の顔がほころんだ。

(百合を還さずに済んで、良かった)

彼女がこの“陽ノ元”に“召喚”され、それまで独りで背負っていたものを、いまはふたりで背負っている。

(なんという───僥倖(ぎょうこう)じゃ)

胸中で幸せをかみしめて、黒い“神獣”は黒い“花嫁”の望みを、叶える。

───あとには、月夜が照らす獣道と、冷たい風が吹き抜けるばかりだった。



      ─── 終 ───

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