ホテル御曹司は虐げられ令嬢に生涯の愛を誓う

プロローグ


照りつける太陽のもとでお母さんの手を繋ぎながらとある場所の前に足を止めた。

「お母様、ここはどこ?」

「ここは、お母様が住んでいたお家よ」

お母様に連れて来られた場所は大きな豪華な家。

大きな家の扉を開けて中へと入ると着物を着ている女の人が次々と床へと掛けて私たちに深く頭を下ろす。

「おかえりなさいませ。七海様、沙凪お嬢様」

「明後日まで迷惑かけるかもしれないけど……」

「七海様、とんでもございません。ここは七海様のご私宅なのですからゆっくりなさってくださいませ」

お母様に話しているのは杏華旅館(きょうかりょかん)の若女将の亜実(あみ)さん。

亜実さんと別れてから靴を脱いでそのまま渡り廊下を渡って連れて行かれたところは大きな部屋だった。

鼻にツンとする草の匂いに思わず片手で鼻をつまむ。

「沙凪、今からお祖母様と大切なお話があるから私の隣で聞いていてね」

「はい、お母様」

するといきなり襖が開いて入って来たのは杏華旅館の大女将であり私のお祖母様。

「沙凪、久しぶりだね。七海、話とはなんだい?」

お祖母様は私の顔を見て笑う。

するとお母様は深呼吸をしてから話を始めた。
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