ホテル御曹司は虐げられ令嬢に生涯の愛を誓う
厨房でひとりで三人前の料理を少しずつ食べていく。
「美味しい……」
時間をかけてご飯を食べていく。食器を片付け終えた頃に旦那様たちが帰って来た。
「おかえりなさいませ」
「あ、お前はもういい部屋に戻れ」
「かしこまりました。お先に失礼致します」
私は部屋に入って扉を閉めてガチャッと鍵をかけてベッドの上に腰をおろす。
そして机の上に置いてあるお母様の写真と目があった。
お母様が生きていた頃は楽しくて幸せだったのに。今は楽しい、幸せと心の底から言えなくなってしまった。
「この生活をいつまで我慢すればいいのかしら、お母様」
ひとり部屋に戻った私はボソッとつぶやく。
寂しい、お母様に会いたい。あの日、三隅に必ず迎えにいくと言われたけれどいつまで待てばいいのかな。
「早く私を迎えに来てよ、翔くんーー」
私は涙を流しながらベッドの上に横になり目を瞑るとそのまま深い眠りについた。