ホテル御曹司は虐げられ令嬢に生涯の愛を誓う
時間を気にせず部屋で過ごしていたらいきなり部屋の扉が力強く開いた。瞬時に足音が大きく近づいてきて、扉の方を見たつもりが気がつけば私は壁を見ていた。
何が起こったのかわからなかったけど、だんだんと左の頬が痛いとわかる。
(今、叩かれたんだ、私)
ゆっくりと正面を見ると私の前には今まで以上に怒っている継母。その後ろで大粒の涙を流している異母妹の姿が見えた。
「どうしてくれたの!あんたのせいで私たちが大恥をかいたじゃない!」
継母から強い剣幕を立てて言われて私は謝ることしかできなかった。
「も、申し訳ございません」
私が一言でも話すとそれに反論したとみなされて手を出されるに違いない。
「せっかく御曹司が来たのに相手が夏果じゃなくてよりによってお見合いの相手があんただったの!」
(あの手紙に書かれていた通り、翔くんは私を迎えにきてくれたんだ)
私が思っている以上に継母の怒りはおさまらなかった。
でも、どうして翔くんは私を迎えにきてくれるんだろう。そんな約束はしていない。あのとき迎えにきてくれるって約束をしたのは三隅と桝田なのに。
「どうしてくれるのよ!宗治さんの顔も丸潰れじゃない」
「ママ……」
継母は泣いている異母妹を抱き寄せて私の部屋を去っていく。