ホテル御曹司は虐げられ令嬢に生涯の愛を誓う
「あれっ……」
私の両腕はなぜか頭の上で紐で縛られている。
しかも動かないようにーーいや、逃げないように頭上のベッドの柵に固定されていた。
「これはどういうことなの」
「あら、もう起きてるじゃない」
今の体制から動かすことができずにただ、見上げることしかできない。
私を見下しながら冷たく言い放ったのは継母だった。
「あの、手首に縛られている紐を外してくれませんでしょうか?」
「嫌よ」
ふたつ返事で返ってきた言葉に私の心は落ち着いていた。ここで焦っても仕方がない。
「ママ、出かける準備はできたよ」
私の部屋に入ってきたのは今からどこかへ出かける格好をしている異母妹。
「今日から旅行へ行くから。あんたはここでお留守番ね。私たちが帰ってくるまで大人しくしてなさい」
そう言われて部屋の扉を外から鍵をかけて去っていった。