ホテル御曹司は虐げられ令嬢に生涯の愛を誓う
懐かしい手
ふと、目を覚ますと慣れてる天井。
いつの間にか寝ていたのか、気を失っていたのかわからない。
声が掠れているのに気がついた私は目を瞑ると鮮明にお母様、三隅、お祖母様、私の大好きな人達の顔を思い出して涙が出てくる。
「お願い、誰か……助けて……!」
私はこんなところで絶対に死にたくない。まだ、会いたい人がたくさんいるの。
泣いても助けを求めてもこの家には誰もいない。
泣き疲れた私は強い眠気に襲われた瞬間、部屋の扉が力強く開いた。
「さ、ーー!」
誰かが助けに来たのだと分かったが視界がぼんやりとして誰なのかわからない。
だけど私の頬に手を優しく当てている感じがどこか懐かしさを感じたのを最後に私の意識が途絶えた。