ホテル御曹司は虐げられ令嬢に生涯の愛を誓う

***

私は目を覚ました。

そして知っている天井じゃない。ここはどこだろう。なんだか外が騒がしい。

「あっーー」

どうしよう、声がうまく出ない。重い身体で起きあがると見覚えのある布団。

そして私の両手首には何重にも包帯が巻かれてある。部屋を見渡すと思い出した。

「ここ、杏華旅館……?」

すると部屋の襖が開いた。中へ入ってきたのはあの日から会いたかった人。

「沙凪お嬢様ッ!」

三隅は涙を流しながら私の名前を呼び抱きしめる。

わずかな力ではあるけれど私も三隅を抱きしめた。

「沙凪お嬢様、迎えに行くのが遅くなってすみませんでした」

私は声がうまく出せなくて必死に首を横にふる。

「ここは安全です。ゆっくりでいいので体調を回復させましょう」

この言葉を聞いて私は頷く。
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