ホテル御曹司は虐げられ令嬢に生涯の愛を誓う

私は自分の手を彼の手の上にそっと重ねる。そして頑張って掠れた声で名前を呼んだ。

「か、ける……く、ん」

「沙凪……!」

私の目からは大粒の涙がポロポロと頬を伝っていく。

声にならないほど泣いている私を泣き止むまで翔くんは抱きしめてくれた。

「少しは落ち着いたか?」

コクリと頷いて私たちは少し距離をとる。私たちの様子を見ていたかのように三隅がお盆を持って入ってきた。

「高城様、沙凪お嬢様の側にてくださりありがとうございます」

部屋に美味しそうないい匂いが漂っている。

三隅が私の前にお盆をおいてくれた。

「沙凪お嬢様、たまご粥です。ゆっくりでいいので食べてください」

『ありがとう』

ノートに書いた文字を見せてから私は手を合わせてる。たまご粥をレンゲで掬い、火傷をしないようにフーフーと冷ましてから食べる。

優しい味付けで美味しい。三隅と翔くんが心配そうに私を見守っているけれど目の前のたまご粥が美味しくて食べる手が止まらない。

時間をかけて全部食べ終えた私は合わせてごちそうさまをする。
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