ホテル御曹司は虐げられ令嬢に生涯の愛を誓う

「沙凪、その人は俺の母だ。沙凪のお母様の双子の姉になる」

「翔くんのお母様で私のお母様が双子の妹?」

本当にお母様が双子だったら容姿も声も似ていてもおかしくない。

「取り乱してごめんなさいね、沙凪ちゃん」

翔くんのお母様は私に謝ってきた。

「私の方こそ申し訳ございません」

「私たちにはかしこまらなくていいのよ」

翔くんは私たちの向かい側にいる人を紹介してくれた。

「沙凪、改めて紹介するよ。俺の父さんと母さんだ」

「初めまして、華園沙凪と申します。よろしくお願いいたします」

自己紹介を終えても翔くんのご両親は口をあけてポカンとしていた。

私は何かやらかしたのかと思ってすぐさまお詫びを申しようとしたが翔くんに止められた。

「申しわけーー」

「沙凪、自己紹介の仕方が令嬢の口調じゃなくて使用人の話し方になっている」

「あっ、ごめんなさい」

またやってしまった。私なりにお嬢様のときの話し方をしたつもりだったんだけどなぁ。
< 28 / 73 >

この作品をシェア

pagetop