ホテル御曹司は虐げられ令嬢に生涯の愛を誓う
「沙凪、実は今日ここに来てもらったのは沙凪の大事なことでもあるんだ」
翔くんは私の目をまっすぐ見て話してくれる。
「私の大事なこと?」
「沙凪、華園家で何があったのか話してくれないか?」
「はい、わかりました」
私はお母様が亡くなってからのことを包み隠さず話し始めた。
お父様が仕事の出張で帰ってきたと思ったらいきなり見知らぬ女性と子供を連れて再婚をして、一緒に家で暮らすと話をされた。
そして三隅、桝田、他の使用人も暇を取らされて、その日から私は使用人になった。今までしたことがなかった家事を毎日やって、継母と異母妹の機嫌を損ねないようにして過ごしていた。
ときには継母と異母妹に暴行をされたり食事を抜きにされたりしたけれど三隅、桝田から必ず迎えに行きます。と言葉をもらっていたから今まで辛くても頑張ってこれたのもある。
翔くんからのワンピースも異母妹に見つかって、私の手元に戻ってきたときには着ることもできない状態だった。
「そして、今から話すことはあまり覚えていないんです」
あの日、目を覚ましたら両手を紐で縛られていて動けなかった。
継母から『今日から旅行へ行くから。あんたはここでお留守番ね。私たちが帰ってくるまで大人しくしてなさい』と言われて私はひとりベッドの上で過ごしました。