ホテル御曹司は虐げられ令嬢に生涯の愛を誓う
暑くて、喉が渇いても何も出来なくて、ボーッとしていると、今、お母様のところへ行ったら全部が楽になるのかなと思っていたことも。
でも、死にたくなくて私は必死に声を出して助けを呼んだ。
そして部屋の扉が力強く開いて誰かが私の名前を呼んでいた。
「だけど私の頬に手を優しく当てている感じがどこか懐かしさを感じてーー。私がお話ができるのはここまでです」
「話してくれてありがとう、沙凪ちゃん」
私が下を向いて話していて顔を上げると翔くんのお母様、お父様は涙を流していた。
涙を拭って翔くんのお母様は私の前に差し出したのは大きな茶封筒。
「実は七海から預かっていたものがあるの」
「沙凪ちゃん、中を見てみて」
翔くんのお父様に言われて茶封筒の中を手に取って確認をする。
「遺言書と婚姻届?」
話を聞いてるとお母様の遺書は秘密証書遺言といい、証人は翔くんのご両親。そして翔くんのお祖父様が行政書士だったために公正の立ち会いをしてもらった。
話を聞き終えたときに翔くんのお母様は重い口をあける。