ホテル御曹司は虐げられ令嬢に生涯の愛を誓う
「七海からは相談をされていてね。このまま沙凪ちゃんをひとりにはさせられないって。だから私たちからお願いをしたのよ」
「おね、がいをですか?」
「私たちの息子の翔と沙凪ちゃんを婚約させようと。同い年でもあるし、私たちも翔以外の見ず知らずの男性に沙凪ちゃんをが幸せになる想像が見えなかったの」
私の父である華園宗治はお母様がいたにもかかわらず不倫をし続けて私の知らないところではお母様に暴力を振るっていた。
遺言書を家で作成していたらただじゃ済まされなかったと思う。だから父が仕事の出張の日にお母様の実家である杏華旅館で遺言書を作成をした。
私は溢れる涙を押さえることができなかった。
お母様はどんな時も笑って私のことを守ってくれていたことに。
「沙凪」
今の私がいるのはお母様と翔くん、翔くんのご両親のおかげでしかない。
「それじゃ、話はここまでとして沙凪ちゃん、家でも翔のことお願いね」
「はい、わかりまーーあの、家でもってどういうことですか⁉︎」
「今日から沙凪は俺の家で一緒に暮らすんだ」
さらっと言われてすぐに「うん、そうなんだ」とは言えない。
「流石にあの家へ戻るわけには行かない。今の安全な場所は翔の隣だしな」
翔くんのお父様もさらっと話してて、ここまで私のことを思って話してくれてるんだと思うと嬉しい気持ちがした。
「翔くんの家へとお世話になります」
エレベーターの前で翔くんのご両親から「いつでもきてね」と歓迎の言葉を言われた。