ホテル御曹司は虐げられ令嬢に生涯の愛を誓う
「沙凪」
「なにーー」
振り向いて翔くんの顔を見ることもなく目の前が真っ暗になった。一瞬の出来事を理解するのに数分かかった。今、翔くんにキスされた。どこを見ればいいのかわからなくてドキドキしながら下を向いて話す。
「か、翔くん、いきなりキスはちょっと……」
私の言葉のあと少し間があった。
「わかった。いきなりじゃなければいいんだ。沙凪、キスしたい」
「えっと、い、いいよーーんっ」
いろんな角度からのキスに私は翔くんに身を委ねることしかできない。私はキスをすること自体が初めてなのに。翔くんはこんなにもキスに慣れているの?どうして心がモヤモヤするんだろう。
翔くんからのキスから解放されて私は少し翔くんと距離をとって聞いてみる。
「ねぇ、翔くんは私以外の人とキスをしたことがあるの?」
「いや、ないけど」
私が翔くんの言葉に頷いたら彼が抱きしめてきた。