ホテル御曹司は虐げられ令嬢に生涯の愛を誓う

「不安にさせたな、ごめん。俺は初めて沙凪に出会った時から決めていたんだ」

「な、なにを?」

「最初は沙凪とって決めていたんだ。自分から言うのは恥ずかしいが、さっきのキスは俺も初めてなんだ」

恥ずかしそうに翔くんは話しながら私の頬にそっと触れた。

さっきまでの不安が一瞬にして心のモヤモヤがスーッと消えた。

「今はキスだけで我慢だな」

翔くんは私に言い残して私の部屋へと行ってしまった。

ひとりリビングに残された私は翔くんの言葉の意味を考えた。

「この先のこともことも、いずれあるんだよね……」

自分で発した言葉に私は顔が赤くなっているはずだ。するとリビング越しから翔くんが私の名前を呼んだ。

「沙凪、こっちに来てくれないか?」

「はぁーい!」

私は翔くんのところへ行き一緒に荷解きを始めた。
< 34 / 73 >

この作品をシェア

pagetop