ホテル御曹司は虐げられ令嬢に生涯の愛を誓う

幸せな日常


秋の中旬に入った今日は桝田の運転で私たちは役所へ来ている。

私は桝田と久しぶりの再会をして嬉しかった。

翔くんと一緒に住む転居手続きを終えてからそのままお母様の遺言書の検認手続きをするために必要な書類を持って裁判所へ来ている。

そして申立人には翔くんのご両親が来てくださっている。

何もわからないまま検認の申立の手続きを終えて裁判所の方からは遺言書検認期日通知書と題されたハガキが家へと届くという話を聞いて私たちは裁判所を後にした。

翔くんの家に住んでちょうど一ヶ月が経つ。

私は二人きりの生活に慣れてきた。寝る部屋はお互いに別で、ご飯はなるべく一緒に食べている。

あの家での生活から抜け出すことができて私は毎日楽しく生活を送れている。

使用人をしてきて以来家のことはなんでもできるようになった。

朝は五時半に起きて朝ごはんの支度に取りかかり、翔くんは毎朝六時に寝室から出てくる。

「おはよ、沙凪。今日の朝ごはんも美味しそうだ」

手際よく朝ごはんを作っていると寝起きの翔くんがキッチンへ顔を出して来る。
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