ホテル御曹司は虐げられ令嬢に生涯の愛を誓う

「行こうか、沙凪」

「はい」

翔くんの手をとった私は彼の婚約者として隣を歩く。参加者の方たちからは「素敵な女性」と囁かれているのを耳にするとドキドキしてしまう。

「俺は少しこのあとスケジュールを父さんのところで桝田と確認してくるから沙凪は三隅と居てくれ」

「うん、わかった」

「三隅さん、沙凪を頼みます」

「かしこまりました、高城様」

私は翔くんの後ろ姿を見送って会場内を見渡す。広い会場に緊張して息苦しく感じる。

「三隅、飲み物をもらってくるわ」

「それなら私が。沙凪お嬢様はここでお待ちください」

「そう、わかった。ありがとう」

三隅が飲み物を取りに行っている間、私ひとりになった。三隅がもう戻ってきたのかと振り返るとそこには、あの日以来の再会。

「家からいなくなったと思ったら」

私の前に現れたのは派手なドレスとメイクをした継母と異母妹だった。
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