ホテル御曹司は虐げられ令嬢に生涯の愛を誓う
「どうしてこの女を庇うのよ!」
「これ以上私の大切な婚約者に侮辱な発言をしないで頂きたい」
今まで聞いたことがない顔の表情と声で翔くんが怒っている。
「愛する沙凪を守って何が悪い。今まで沙凪にひどい暴行をしてきた貴方たちに敬意を払う必要はない」
「な、なによ!」
「花園家ご令嬢の沙凪を使用人として働かせ、ときには手を挙げて暴行をし、食事を抜きにしたこともありましたね」
「それがなに⁉︎」
異母妹は翔くんの言葉に反論している。
「私が沙凪に贈ったワンピースもなぜ、あんたが着ていたんだ」
「それは使用人には似合わないと思ったからよ。だから私が着てあげたのよ」
「私は沙凪に着てほしくて選んだワンピースだ。人のものを勝手に取ってはいけないと親から教えてもらわなかったのか」
私の代わりにここまで翔くんが怒るなんて思ってもなかった。
翔くんの手は怒りをこれ以上出さないためなのか、強く拳を握っている。私は優しく彼の拳を解いて手を握る。