ホテル御曹司は虐げられ令嬢に生涯の愛を誓う

「桐子、もうやめなさい」

「宗治さん、貴方からも何か言ってやってよ!」

「話は全て聞かせてもらった。七海が遺言書を書いてたことも土地も建物も森垣家の所有者ってことも知っていた」

今まで誰にも知らされていない話しを聞いた私はその場で膝から崩れ落ちた。

華園財閥は結婚当初はよかったものの徐々に右下がりの結果がでてこのままじゃダメだと思い自ら契約会社を回った。

だか、上手く軌道が上がらなくて私は七海のお金に手をつけた。

そして当時、出張で行った会社の受付をしていた継母と出会い関係を持ち、異母妹の夏果が産まれた。

七海より桐子といた方が気が楽だった。仕事の苛立ちは七海にぶつけて、長期の出張と嘘をついて桐子と生活をしていた。

「先週、お金が動かせないと知った時に思い出したよ。七海の遺言書が見つかったんだなって。それで七海は私ではなく全てを沙凪に渡したんだなって。これまでのことは全て私の責任だ」

「そんな、宗治さん!」

華園宗治は放心状態の私の前に正座をした。

「今まですまなかった、沙凪。許してほしいとは言わない。今まで守ってやれなくてごめんな」

「私は貴方を許しません。でもお母様がいた頃まで私はお父様の娘でよかったです」

私の言葉を離し終えたと同時に扉の前で待機していた私服警官がお父様と継母、異母妹を連れて会場から去っていった。
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