ホテル御曹司は虐げられ令嬢に生涯の愛を誓う
床に座り込んでいる私に翔くんが優しく声をかけてくれた。
「沙凪、立てるか?」
「う、うん」
床から立ち上がるも会場がシーンと静まりかえるなか、翔くんのお父様がマイクを持って話す。
「皆様、先ほどはお見苦しいものをお見せして申し訳ございません。本日は我が社高城ホテル創立八十八年の記念パーティーへ参加くださり誠にありがとうございます」
「そして今日は皆様に次期社長の息子からご報告がございます」
いい流れでバトンを受け取った翔くんは私の手を握ったまま話を始めた。
「改めて紹介をさせてください。私の隣におりますのが許嫁の華園沙凪です」
「皆様お初にお目にかかります。高城ホテルの次期社長である高城翔さんの許嫁の華園沙凪と申します。不束者ではございますがよろしくお願い申し上げます」
私たちの自己紹介が終わると会場中から拍手と祝福の言葉が飛び交っている。
それからは翔くんと二人で参加してくださっている方達への挨拶をしに回っていて全員の挨拶が終わった頃にはパーティーがお開きになっていた。
帰りは桝田に翔くんと家まで送ってもらって私たちはご飯も食べずに簡単にお風呂を済ましてから自分のベッドへ横になるとそのまま力尽きたように眠りについた。