ホテル御曹司は虐げられ令嬢に生涯の愛を誓う
今まで私の知っている翔くんよりも目の前にいる翔くんにドキッとする。私は翔くんの手をとって自分の頬にあてる。
「沙凪?」
「私ね、翔くんの手が好きなの。安心するんだ」
「これからずっとこうして触れてやる」
この幸せと好きをなんて言えばいいんだろう。私はずっと不運の中で生きていくのかと思っていた。
だけどそんな私を迎えに来てくれたのが翔くんだった。今、言葉にしないときっと私は後悔する。
「私を迎えに来てくれてありがとう。翔くん」
「沙凪、俺と出会ってくれてありがとう」
どちらからともなく深いキスを交わす。そして初めて好きな人と日付が変わるまで抱き合った。
部屋に日の光が差し込んだまぶしさに私は目を覚ました。
「んっ……」
「体はどう?」
「おはよう。うん、大丈夫」
まだ寝ぼけている私は布団の中へと潜る。ひとりで寝るのも良いけどこうして起きた時に好きな人の顔が間近で見られるのがいい。
「さて、起きて帰る支度をしないと」
お昼までにホテルをチェックアウトしないといけない。