ホテル御曹司は虐げられ令嬢に生涯の愛を誓う

「沙凪ちゃんその日、翔に仕事を休ませるから」

「そんな、申し訳ないです!」

「いいのよ、沙凪ちゃん。あの子は以前、仕事を詰め過ぎて倒れたことがあるのよ。しかも自分の誕生日にね」

だから、伊豆の出張の時スケジュールが詰め過ぎてないのはこの理由があったから?

天音さんが入れてくれた紅茶の匂いで私は吐き気に襲われた。

手で口元を押さえて私は急いでトイレへと駆け込んだ。朝に食べた物が全部吐いてしまった。

私を心配して天音さんからコップに入ったお水を受け取る。

「沙凪ちゃん、大丈夫?」

「すみません。冬に食当たりだなんて、昨日食べた揚げ物が原因なのかな。そうだとしたら翔くんも体調が悪いんじゃ⁉︎」

私が少し慌てていると天音さんから座るよう促された。

「沙凪ちゃん、このごろ体調はどう?」

「体調ですか?えっと、疲労感と眠気があるくらいです」

「そうなのね。月のものは来ている?」

天音さんに言われてカレンダーアプリで遡っても今月の生理はまだ来ていない。
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