ホテル御曹司は虐げられ令嬢に生涯の愛を誓う
「わかった。なんて呼んだらいい?」
「翔様のお好きなように呼んでくだされば大丈夫でございます」
「沙凪、沙凪、沙凪……」
彼は私の名前を連呼している。
「いつも通り沙凪って呼ぶけどいい?」
「はい」
まず私は家の中の掃除をしてる間に洗濯物を回す。これはいつもの生活と変わらないが、今の私は匂いを感じるものには躊躇してしまう。
(うっ……吐くところまではいかないけど、柔軟剤の匂いがダメかも)
少し息を止めてテキパキと手を動かす。
「ふぅ、次はお昼ご飯を何にしようか」
私は味が薄めなものがいいけどここは何が食べたいか聞こう。
「翔様、お昼は何がよろしいでしょうか?」
「沙凪が作るものならなんでもいい」
なんでもいいってことは私に気を遣って?それとも本当なんでもいいのか。
私は翔くんの言葉に従う。なんでもいいなら匂いが大丈夫そうなものを作り始める。