ホテル御曹司は虐げられ令嬢に生涯の愛を誓う
目を覚ますと、ソファーのアームに腰をかけている翔くんが見えて私と目があった。
「起きた?」
翔くんに声をかけられて私は横になっている体で起き上がろうとした瞬間、胃のムカつきに襲われる。
「は、く……」
ここで吐くわけにはいかない.。急いで起きあがった私は壁を伝ってトイレへ駆け込む。
私を心配してトイレの外から声が聞こえた。
「沙凪、大丈夫⁉︎」
「う、うん」
眩暈が落ち着いた私はトイレから出て翔くんに聞いた。
「今、何時かわかる?」
「二十三時を過ぎたところだよ」
えっ、嘘……。
リビングに戻って時計を見るとほんとに夜の二十三時を過ぎている。
翔くんの誕生日が終わろうとしていた。
「ごめんなさい、私……」
「体調、悪かったんだろう?」
そうだけど、違うの……。
翔くんはソファーに座って私は立ったままその場から動けないでいた。