ホテル御曹司は虐げられ令嬢に生涯の愛を誓う

「沙凪、おいで」

優しくおいでと言われた私は何故か翔くんの膝の上に跨って向き合っている。

「どうした?」

翔くんは私の涙を親指で拭ってくれているのに気がついた。そして私を優しく抱きしめる。

私は抱きしめられながら重い口を開いた。

「今年入ってから体調が良くなくて、昨日病院へ行ってきたの」

「どこか悪かったのか?」

「悪くはないんだけど、これ」

翔くんにエコー写真と母子手帳を差し出した。

「もしかして……!」

「今、二ヶ月だって」

エコー写真に白い小さな粒が写っている。 そして翔くんは私のお腹に手を置いた。

「俺たちのところに来てくれたんだな」

「う、嬉しい……?」

「ああ、すごく嬉しい」

翔くんの喜んでる顔が見られてホッとした。

「このことは母さんに話したのか?」

「昨日電話で天音さんから赤ちゃんの報告は翔くんに誕生日プレゼントにしたらって言われて」

「沙凪、素敵なプレゼントをありがとう」

私は翔くんに抱きしめられながらおでこにそっとキスをされた。

不安だった今日があっという間に幸せな一日が終わった。
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