ホテル御曹司は虐げられ令嬢に生涯の愛を誓う

「沙凪、君は今からこの家の使用人だ。そして桝田と三隅、他の者も暇を取らせる」

「そんな、お父ーー」

「お前は使用人になったんだ。お父様ではなく旦那様と呼べ。パパと呼んでいいのは娘の夏果だけだ」

この人は桝田と三隅を休暇ではなく使用人を辞めさせることになる。そして私は娘ではなく使用人になった。

「はい、旦那様」

この私の目の前にいる桐子と夏果という女性は花園宗治の浮気相手とその間にできた子供だ。

あの時、電話越しで『パパ』と言っていた女の子に違いない。

「パパ、夏果の部屋はどこ?」

「二階の角部屋を使うといい。夏果に使わせてもいいよな?」

二階の角部屋は私の部屋だ。

「あの、私はどこの部屋を使えばいいでしょうか?」

「物置部屋を使え」

「わかりました」

早速、使用人の服を探し出して部屋で着替える。

等身鏡に映る自分の姿がなかなか似合っていると思ってしまった。

「早く荷物を運ばないと」

私は部屋の荷物を全部廊下へと出していく。

「まだ、部屋があるだけでもいいことよね」

段ボール積み上げてを運んでいると目の前が明るくなった。

すると私の前には桝田と三隅がいる。

「ありがとう」

「沙凪お嬢様、お手伝いいたします」

「私もです」

三人で荷物を運び出して次に物置部屋の掃除をしていく。
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