隣の男の子たちは私を困らせる。
「めっちゃ大変じゃん」

「女子寮行きたくなった?」

ニヤッと笑って見て来るし。

小ばかにしてるな!もうっ!!

「私は行ってもいいけど、斗空が行くなって言うんだもん」

だからちょっと言い返しちゃおうかな、なんて。

「だって斗空は私といたいんでしょ?」

フンッと鼻を鳴らして、からかってやろうかなって思ったのに。

「そうだけど」

何その返し方は!!?
私の方が恥ずかしくなっちゃうじゃん!

かぁーっと顔が赤くなって、ふいっと斗空から視線を逸らした。

「何それ!なんでそんなこと言うの!?」

もうさっき拭いたはずのドアを拭きながら、ぷくっと頬を膨らませる。

今の反応見て絶対バカにされるんだよ…っ


「歩夢の事が好きだから」


初めて聞く、斗空のそんな声。


「って言っただろ?」

「…!」

にこって笑って、そんな顔も初めて見るんだけど。

なんで、そんなに嬉しそうなの…


ねぇ!?


「それってどっち!?どっちの意味なの!?」

「どっちって他に意味あるのか?」

「あるよ!!」

一瞬でその顔はどっかいった。

すんとした無表情でさっきのはなんだったの!?

「あゆむんたち何話してるのー?」

「口だけじゃなく手も動かしてや!」

「だって斗空がっ」

「俺は真面目に掃除してる」

「~…っ」


今日も臨時寮は騒がしくて、いつもと変わらない日常…


なのコレ!?



隣を見ればニッと笑って、少し上から見下ろすように私を見てる。

困ってる私を楽しんでるみたいに。



悔しい。

悔しいけど…



これも嫌じゃなかったり。





そんなこんなで、まだまだ私を困らせる日々は続く…
みたいです。
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